学院長室だより

 朝夕の心地よい風に秋の気配を感じるこの頃です。秋といえば、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋…全身で秋を感じてほしいと思います。学校行事も運動会、関東地区盲学校陸上大会、PTAバザーなど、様々な行事が予定されています。行事に向けた取組の中で、一人ひとりの子どもたちが、それぞれの課題に挑戦したり、頑張りぬく力をつけていったりする過程を大事にしていきたいと思います。


 先日は、移動動物園がありました。川崎市の牧場から、ポニー、ヤギ、ヒツジ、モルモット、ウサギ等がトラックにのってやってきました。ヤギの鳴き声が聞こえると、教室から準備している校庭に出てきて、どんな動物がやってきたのか確かめようとしたり、キャベツとニンジンをカットし、えさの準備をしたりしながらワクワクドキドキで動物たちと対面しました。 恐る恐るニンジンやキャベツを差し出し、すぐに手を引っ込めてしまう子、ポニーに乗ることが気に入って、何度も背中に乗って揺れを楽しむ子、かごに入ったモルモットを膝の上に乗せ、手のひら全体でモルモットの背中を触り、温かさを感じている子、怖がることなくニンジンやキャベツを差し出し、食べている音に耳を傾ける子など、様々なかかわりの様子がみられました。理療科の生徒さんも休み時間等を活用し、動物に触れ親しんでいました。

10月25日(土)の運動会に向け、各グループでダンスや体操、鉄線走等に取り組んでいます。鉄線走は、一直線に張られたワイヤーを手掛かりに、ゴール地点からの掛け声に向かって走ります。目が見える子どもたちは、日常の様々な動作を見て真似をして獲得していきます。それに対して、先天性の全盲の子どもたちは、模倣することができません。「走る」という動作は、足を地面から離して、膝を曲げながら、手を振って前に進むことの連続です。手は物にぶつからないように防御の姿勢をとることが当たり前で、足を地面から離し、手を振ることはとても勇気のいることです。ことばで説明をし、体を触りながら動きを教えていく中で、子どもたちは回を重ねることによってスムーズな動きになっていきます。 一人ひとりがそれぞれに挑戦する姿をどうぞお楽しみに!

10月7日
横浜訓盲学院 学院長  星 祐子